婚活アドバイス

私の好きな中村天風の言葉に「人生は心一つの置き所」というものがある。ちょっと解釈が難しいが、「自分が大事と思う方向に選択していけば、人生は自分の思うように築かれていくものだよ」という意味だ。即ち、シッカリ自分の意志を持っている人は、その意志の通りに人生が展開されていくが、優柔不断な気持の人は、その時の気持次第でフラフラ揺れる人生に成っていくということだ。人生も政治も“一寸先は闇”であり、吹く風任せの人生を歩んでいれば、どこの港に入れるかは風任せになってしまい、自分の人生が送れるはずもない。風任せで航海できればまだしも、一瞬の油断で人生がどんなに暗転するか予想も付かない世界だと言えば言えるのである。

結婚するか独身で行くか。人生の決断とすれば、相当大きなものになるのだが、「いい人が現れたら……」と半分風任せを決め込んだら、その時は“全部風任せ”を選択することになるよ。そこのところが、アナタの人生の分岐点だろうね。そして、今の日本の状況をベースに考えれば、「独身でいく方が、気楽で自由な生活が送れる」と思われるね。独身なら好きなことをしても迷惑を掛ける人が少ないだろうし、イザの時自分だけが食って行ければ何とか成るので、責任も軽くて済むだろう。だから、将来に責任が持てない気分なら「独身に逃げるのも良しだ」。そりゃー結婚する方が大変だよ。言いようによれば、「好きこのんで苦労するために結婚することはないよ」とも言えるよ。

しかし、ここが思案のしどころなんだよ。生き甲斐というか、生まれ甲斐というか、「今生の人生をどう位置付けるか」なんだね。今回の地球上の人生、苦労も一杯したけれど、「頑張って生き抜いたなぁ」と思えるような人生にしたいか、あんまり苦労しないで、ノホホンと生きたらいいと考えるかだね。後者の気持に近い人は、「却って独身がいい」かもしれないね。結婚するかしないかは、ここの人生設計に関係してくると思われる。「全ての選択に」長短有り。どっちを選ぼうが大した違いのないものならば、迷う必要もないし、拘る必要もないのだが、この問題はそうとも言えないので、一考の価値の有るものになるのだね。

「人間」て、不思議なものだね、日常生活なら手の掛からない気楽な方がいいと思うのだろうが、人生の意味付けとか生き甲斐を絡ませて考えるとなると、“けっこう真面目に手抜きをするのが憚ハバカられるのだね”。何となく気分としては、真面目な人生を送りたいという願望が出て来るのだよね。この欄を書いている私は私の人生を歩んでいるので、ここでは道すがらの助言者でしかないわけで、「気楽な評論に乗せられてはいかんよ」。アナタが「どんな人生を歩むのか」は、アナタ自身が決めればよく、道すがらのおじさんの出る幕でないのだからね。ただ、評論家の言えることは、「独身で行くなら、決心は不要、流れに任せればよい」、しかし、「結婚するならば、ハッキリとなにがしかの決心を持った方がよい」ということだねぇ。

「人は、ナゼ結婚するのか?」
あなたは、ボンヤリと考えてみたことがあるでしょう。そして、「その鮮明な理由を見出せていませんよね」。ある面、“だから、結婚に踏み切れないのですよ”。

適齢期に達した男女の多くは、この問題をボンヤリと、または何となく考えたことがあるはずです。胸に手を当てないでも思い出せるでしょう。
そうなんです、多くの人は「ボンヤリとは考えたことがあった(過去形で)」のです。私も御多分に漏れず、考えましたよ。そして、私は、比較的早い内(30代)に、ナゼ結婚するかということに結論を出しました。でも晩婚になりました。
私の出した結論、「結婚する理由付け」を知りたいんでしょう。でも、少し待ってください。

考えた軌跡を書いてみますが、これは私の個人的結論ですから、皆さんにも「こう考えろと。無理強いするつもりはありません」ので、どうぞ参考程度に考えてください。

当時の理由は、“普通の人は、みんな結婚して、子供を作り、代々家を継いできているんだから、俺もそうするのがよいのだろう”という思いでした。
私は昔風に言えば、「分家筋の三代目」に成ります。そして、頭の中には、「適齢期になって、適当なお相手が現れたら、“その時は、身を固める時だ”」と宿命というか、自然にというか、そういう考え方になっていました。即ち、人生のどこかで“結婚するものだ”と思っていたのです。実際は、適当な相手が現れず、結婚が遅れましたが、決して独身主義で結婚をためらっていたわけではありません。

30才までには結婚しようかと思っていると、すぐにその年が来て、光陰矢の如しで35才がみるみる来ました。この感じ、実感されている方は多いでしょう。仕事が面白くなってくると、結婚する気があっても、時間だけどんどん過ぎていきます。これがくせ者です。

ここから、「婚活アドバイス」になりますが、
まず最初に結論を出してください。「結婚するのか、しないのかを」。しない人生もあります。でも、この文章を読んでくださっている多くの人は、「昔、結婚しない」と決めた人も、“今は結婚しようかな”という思いが心の底に有るのです。それでいいんじゃないですか。

私は、まだ独身の頃から、教え子達に「別れてもいいから、一度は結婚しろ」と言ってきました。その考え方は、現在も全く変わりません。ということは、私の現在の結論も「失敗だとしても、一遍は結婚しろ」という理屈抜きのものです(現在の理屈は後述)。だから、単純に考えて、「人類は色々な形態で結婚し、子孫を残してきた」事実に注目し、自分自身も単純に「結婚する」と決めればよいのではないですか。

いやはや、この「結婚すると決めること」が大事なのです。別れてもいいから、一度は結婚すると決めれば、“グンと結婚する可能性が高まります”。「適当なお相手探し」に集中できることになるからです(影の声:自分から釣書を書いてお見合いする気持ちになっているのと似た状況になります)。「結婚する」と心が決まっていれば、“どの人とするか”という問題だけのことで、結婚することに対しては迷いがないからです。

昨今「頼りがいのある男が少ない」という声を良く聞きますが、頼りがいがないなら、自分で切り盛りして男に頼らないようにする対策も取れます。但し、こう前向きに考えられるのは、「結婚する」と決めた女性の特権のようなものです。“いい人が居なかったら、結婚しなくても仕方がないわ”と思っている女性には、この考え方の切り替えがなかなか出来ないことになります。選択肢がたくさんあると「迷いますし、決められません」よね。実は、ここの一節、メッチャ大事なことを書いているのですよ。「結婚する」と決めると選択の余地は「結婚相手だけ」になりますが、結婚するかしないかは相手次第と考えていると“相手の長所と短所がそれぞれ選択肢”になりますから、分析すればするほど迷うことになるでしょうね。

解りましたか。「結婚したいと内心で感じているなら」、相手次第で婚活に臨んでもあまり成果が出ませんよ。何よりも大事なことは、「この気持ちの奥には、結婚願望がある」、だから“結婚しよう”と自分自身を方向付けることなのです。即ち、私は「結婚する」と決心することなのです。

男も女も、この地球上に生を受けた限り、「スンナリ人生を歩めれば」適当に人に巡り会って結婚し、“苦労と我慢抜きでは過ごせない結婚生活というものを経験する必要がある”のです。その苦労をする中から、「子を育ててみて解る親の恩」といった諺の重みが解ってくるのです。自分が育てられている時、殆ど気にも止めていないようなことでも、「親はこんなに苦労していたんだなぁ」ということが、やっと解るから面白いものなのです。子育ては、苦労も多いけれど、人生や結婚というものの現実を学ぶには最高の現場ですね。結婚生活は、「人生修行」そのものです。結婚して「人間が練られる」のでしょう。

それと私の今風の理由付けを少し。
それは、「命懸けの鮭の遡上」の様子を重く眺めることで、しみじみと感じ入ることが出来ました。その顛末を少しご紹介しましょう。

鮭は、数年後に、自分の生まれた川に産卵のために戻ってきます。その姿は、ほぼ毎年テレビのニュースとして、ドキュメントとして放送されています。多分誰もが見て知っている映像でしょう。雌鮭は、腹一杯に卵を抱え、雄鮭は精子を貯めて、急流をものともせずに遡上します。途中の水や石との格闘の結果、産卵場所に着いた頃には、尾びれが激しく傷付いて痛んでいます。それにも関わらず、休むヒマもなく、水流の穏やかな産卵場を探し出すと、雄は雌を産卵に誘い、必死の思いで、雄は精子を振りかけます。

そして、鮭の場合、雄も雌も、産卵後生命を断ちます。即ち、必死の思いで、次の世代に命を繋ぐわけです。命を繋ぐことの重さを感じさせられます。

結婚して、次の生命が生まれることは、とても神聖で限りなくありがたいことだと思わせられています。

ごあいさつ
ひょんな事から、こんど婚活アドバイスを書いてみようと思いまして、初回をアップすることにしました。こうなった事情は、次の2つの理由が合体しまして、それじゃやってみようかとなった次第です。理由その1は、別ページに「就活アドバイス」を掲載していますが、多少お役に立つ情報に成り得ているのか、最近結構読んでいただけるようになりました。それを書くに連れ「就職と結婚」は極めて似た要素が有ることでした。その2は、未婚の娘がおりまして、先日この話をしましたところ、「その話、ホームページに書いたら読んで貰えると思う」と勧めてくれたことです。元来“女心が解らない人”で来た私ですが、婚活女性に参考にしていただけるなら、嬉しいことだと思いまして、「ダメ元」で書き始めることにいたしました。
それで、初回は娘にしたお話からしましょうか。

教え子のアラフォーが素敵な年下の男性を射止めた話、2件

この話は、私が短大を退職し、ささやかな退職パーティーを開いて、それに参加してくれた卒業生の上に起きたお話です。

その時、Aちゃんのお腹がいささかふくらみ気味でした。でも、そう言うことは、男の方からは言い出しにくいもの。まして、長らく「オイ、早う結婚セーヤ」と声を掛けてきて、無視され続けてきた私としては、「半分以上、肥えてきたのかな」と想像している以上、余計にそのことは口に出来ませんでした。

ところがところが、宴も半ばを過ぎて、見知らぬ同士もうち解けてきた頃、「先生、私、結婚してん。そして今5ヶ月やねん」と、報告してくれるではありませんか。
とっさに「オーそうか、そらメデタイナー」と口を突いて出ますがな。Aちゃんは、頑張りやさんで、賢い子でした。将来、良い働きをしてくれることが期待できた子でした。マア私の数少ない「ホープさん」でしたね。ただ、心配させたのは結婚話が出ないことでした。「オイ、諦めて釣書書け」と何回も言いましたねぇ。そうして年賀状だけが行き来するうちに、「あの子は独身で通すつもりだなぁ」と思い込むようになっていて、結婚のことはもう頭から離れていたのでしたが、この日の爆弾報告になりました。

聞けば、「お相手は、29才のお医者さん」だというのです。その時Aちゃんは、39才。

まあ「ご縁ですね。結婚は全くのご縁です」。馴れ初め等聞き出そうとしたのですが、詳しくは語らずです。それはプライバシーの問題ですから、私も知らないし、知っていてもこんなところに書けるものではありませんが。

パーティーは、その報告で話が集中しました。みんな、そのハッピーウエディングの話に聞き耳を立てました。

そうしたら、次の話しに繋がるのです。Aちゃんの同期の「Bちゃん」(ちゃんとは呼ばず呼び捨てが普通なのですが)が「まだ独身と解り」、私のお節介がBちゃんに向いて始まりました。「オイ、Bちゃん、好きな人はおらんのか?、好意を持っている人は居ないのか」と。
急な話の展開なので、しつこすぎると嫌がられるし、逆効果にもなるだろうから、しつこくはしないで話を納めようとしました。しかし、今から思えばその話が絶妙でしたね。「人生なんでも、諦めたらアカン。諦めたらそこでお終いや。私はな、ここ何十年ダメ元精神で、それでも最後まで諦めんようにやってきたのや」と持論を紹介して、やんわりとBちゃんにエールを送ったのです。

そうするとどうでしょう。パーティーの約半年後、Bちゃんから「結婚するという報せ」が届いたのです。その時、Bちゃんは、確か40に成ってしまっていたのです。それがまた凄いお相手で、一流国立大卒業の31才の職場の同好会の後輩だったのです。彼はアイデアマンでもあり、結婚式に新婦を喜ばせる演出もしたのです。Bちゃん曰く、「Aちゃんの報告と私の諦めたらアカン」という話が、大きく勇気付けたようで、Bちゃんの方から猛烈なアタックを掛けたと恥ずかしそうに報告してくれました。そうすると、彼の方も(年が離れていることを気にはかけていたものの:カッコ内私の推測)Bちゃんのことを好ましく思っていたようで、彼女のアタックで「双方の思いが通じて」、めでたくゴールインになったのでした。式はすぐに挙げてハネムーンは、仕事と有給休暇の関係で春先にすると「お二人で報告に来てくれました」。とっても素敵な男性でした。Bちゃんの方のベイビーの話はまだ聞いていません。でも、諦めずに励んでくれることを切に祈ります。

退職パーティーは、とかく過去に引き摺られ湿っぽくなるものですが、この話で未来に展望が生まれる話になり、楽しい記念の一時となりました。参加してくれた卒業生諸君、あの時はありがとうございました。

ところで、初回の婚活アドバイスとしては、どうまとめましょうか。
○ 昨今、「ウンと年下の男性と結ばれるカップルも珍しくなくなってきました」。とりわけ、性格的に“姉御肌の人・男勝りの人・自分で切り盛りしたい人”などの特徴をご自身でも感じている人は、“年下の男性と相性がよい”ように思いますね。その代わり、メインの責任を負う覚悟で結婚しましょうね。Aちゃんには、早くから「お前は、年下の人がいいかもね」と言ってきました。図らずもその直感が現実になったようです。
○ Bちゃんの経過で大いに参考になるのは、アラフォーの女性の方から、年下男性に意思を確認しに行くのが良いのではないかと思われることです。年上の女性を好きになる男性は、得てして遠慮ぎみのタイプになります。そうすると、好意を持っていても「年の離れた女性にその意志を伝えそびれる」ところがあるように想像出来ます。女性側が、男性の好意を薄々感じたなら、「さり気なくお茶に誘うなりして、意思を確認しないと」、デートに誘う切っ掛けが出来ないまま、サヨウナラにならないとも限りませんね。Bちゃんは、女性の方から確認しに行ったのが「成功の最大のポイント」ではないかと思います。

※ 結婚は、恋人の時と違って24時間の付き合いになります。それ故、双方の人間的な信頼のベースが確認できたなら、後は「相性」の良否が、結婚生活の幸不幸を決定する大きな要素と思われます。相性は、人間性とはまた別ですね。人間性が高い者同士でも、「相性が悪い」と結婚生活がギクシャクします。その点でピッタシカンカン(Twin Soul)のご夫婦なら、なにも言うこと無しでしょうが、ツインソウルカップルは希な組み合わせで、普通は性格的には凸凹の組み合わせになります。それでも「相性がよい凸凹夫婦」は、なかなか良いカップルのように思われます。補い合いですよね。要は、「年の差が全然気にならず、お互いの良いところを出し合っていけるかどうか」で、結婚へゴールインするかしないかを決められたらよいのではないでしょうかね。

参考になりましたでしょうか。良いご縁を掴んでください。祈っています。

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